「思い込み」が職場を揺るがす? トラブルの芽を早期に見抜く思考習慣とは
昨今、メンタルヘルスや人間関係の問題から生じる職場トラブルが増加しています。
その背景には、本人も無自覚な「認知の歪み」が影響しているケースが少なくありません。
企業の生産性や職場の雰囲気に大きく関わるこの問題について、今回は「認知行動療法(CBT)」の視点を取り入れながら、採用・面談・職場対応においてどう向き合うべきかをまとめました。
「認知の歪み」とは何か
「認知の歪み」とは、出来事の受け取り方や考え方に偏りがあり、それによって現実を歪んで捉えてしまうことを指します。
たとえば、
- 「一度ミスしただけで、自分は無能だと感じる」
- 「上司に少し注意されただけで、嫌われたと思い込む」
といったような、根拠のない否定的な思い込みがその一例です。
認知の歪みと職場のトラブル
認知の歪みが強い従業員は、次のような傾向が見られやすくなります。
- ミスや指摘を「攻撃」と受け取り、防衛的・対立的な反応をする
- 周囲とのトラブルを繰り返し、離職・長期休職につながる
- 注意しても自分に非がないと感じ、改善意識が育ちにくい
また、管理職側にこの傾向がある場合、部下への接し方に厳しさや偏りが生じ、職場のモラル低下やハラスメントの温床になることもあります。
採用・面談時における「歪み傾向」の見極め
すべての人に多少の認知の歪みはありますが、極端な思考を持つ求職者・従業員を早期に把握することは、組織にとって重要です。
面接でのチェックポイント(例)
- 「過去の失敗経験をどう受け止め、行動しましたか?」
- 「前職の人間関係はどうでしたか?」
- 「ご自身の長所・短所をどのように捉えていますか?」
一方的な被害感情や他責思考が強い場合は、歪みが強いサインかもしれません。
認知行動療法(CBT)に基づくセルフチェックと支援
CBTでは、思考の偏りに気づき、それを「現実的かどうか」「他の見方はないか」と問い直すことを重視します。
社内でできる取り組み(例)
- 面談で「最近困難に感じたこと」と「どう受け止めたか」を聞く
- 「思考・感情・行動」を紙に書き出すワークを実施する
- CBTをベースにしたストレスチェックや研修の導入
従業員が自分の思考傾向に「気づくこと」だけでも、再発や衝突を防ぎやすくなります。
経営者・人事担当者に求められる姿勢
「認知の歪み」は、個人の性格というより思考習慣のクセです。 責めるのではなく、丁寧なヒアリングとフィードバックを通して、本人の気づきを促す視点が重要です。
採用時には、「スキル」だけでなく「認知傾向」や「対話力」も見極め、入社後はこまめな面談とサポートを通じて、安心して働ける環境づくりを目指しましょう。
おわりに
メンタルヘルスや人間関係のトラブルの背景には、思考の偏り=認知の歪みが潜んでいることが多くあります。 この「見えにくいリスク」に目を向けることは、職場の安定・人材定着に直結します。
採用から日々のマネジメントまで、気づきと関係構築を大切にしながら、柔軟で健やかな職場づくりに取り組んでいきましょう。
